巷で話題のECS LivaをついIYHしてしまいました。秋葉原Buymoreの展示機を見てから、欲しいなと思っていつつも中々在庫がどこにも入ってこなかったのですが、仕事帰りに何となくドスパラを見たらあったのでつい…。
個人的に、何に使うかよりも、HWとしてどの程度使えるのか興味があったため、この評価ボード(違う)のレビューしてみます。画像の元ネタが一発で分かったような人には多分物足りないと思いますが。どうでも良いですが、元ネタは左手だったんですね。頭にあるイメージで右だと思って思いつきで突貫で作って、作ったあと気がつきました。ほんとどうでも良い。
思ったよりもハマりポイントが多かったため、まずはHWの部分です。
スペック
構成としては以下のパーツで構成されています。
CPU: Celeron N2806 1.6GHz/TB 2GHz
Memory:DDR3L 1066MHz 2GB (lshw/lspci情報を見るとシングルチャンネルっぽいです)
Storage: 32GB eMMC
付属品や組み立て方法などの情報はもうすでに情報があるため、そちらを参照してください。
http://www.ecsjpn.co.jp/liva/index.htm
その他HW構成についてはlshw/lspci -vvv/dmidecodeの結果を置いておくので、詳細が知りたいという人は見てください。
筐体のサイズ
こちらも情報があるため多くは書きませんが、端的に述べてかなり小さいです。ボードのサイズは2.5インチHDDと大体同じです。
付属のケースに入れると、それなりに大きくなります。
将来的には、3Dプリンタで各自で独自のケースを作ることを想定しているそうです。
拡張性
Wifi/BT2.1を積むためのM.2ソケットが裏面にあるのみで、それ以外はUSBでどうにかする必要があります。M.2ソケットなんて規格いつの間に出来ていたんですか…知りませんでした…。
また、USBも本体から取れる電源が2.0/3.0ポート合計で5Wまでの為、特に3.0規格のデバイスを接続する時は注意が必要です。USB2.0規格なら5V 500mAx2で5Wの為、理論上(規格を遵守していれば)どんなものでも2つのデバイスを接続できますが、3.0だと1つで最大4Wまで取れてしまうため、あれこれ接続する時にはAC付きのハブなどを使う方が良いかもしれません。
それにしても付属のWifi/BTカードがものすごく小さくて驚きました。少しコンシューマの最新の規格から離れていましたが、ここまで進化していたんですね。
差し込むとソケット側が余るのでほんとこれで良いのか疑問でしたが、そういう規格なので問題有りません。
消費電力
無負荷時3W前後、最大負荷時9W程度です。
用途が違うとはいえサーバーに付いてるBMC(iLOやIMMとか)だけでも5W-10Wくらい消費していましたが、その消費電力でOSが動いてしまうという事実。凄い進歩ですね。
Windows以外のOSでの動作
最大の疑問は「対応OSがWindows 8.1」と限定されている表記について、他のOSがどうなるのかと言う点でした。結論から先に言うと、いくつかの注意は必要ですが普通に動きます。
組み込みストレージについて
まず試しにDebian 7.2をインストールしようとしてみましたが、ストレージデバイスがないと言われました。デバイス対応が進んでそうなUbuntu Server 14.04も試してみましたが、やはりストレージがないと言われます。
これにハマって1時間くらい過ぎた後、対処として
・NICは認識できるためPXEブート→iPXEやgPXEのファームを読ませて更にiSCSI boot
・USBにスティックメモリを差し込んで起動
・eMMCを読ませるためのドライバをどうにかがんばって入れる
のどれかをする必要があると思い、楽そうな2のUSBにスティックメモリを挿してUSBbootすることにしたところ、問題なく起動しました。
その後判明しましたが、インストーラからeMMCが見えない原因は、インストーラーのISOイメージのinitrdにmmc_block(SDカードドライバ)モジュールが含まれていないことでした。しかし、mmc_blockモジュールはインストール後のinitrdには含まれるので
・ISO再構築
・一旦USBにインストール後、
# modprobe mmc_block
# dd if=/dev/sda of=/dev/mmcblk0
を実行
・Ubuntu Desktopをインストール(Live DVDとして起動)
のいずれかでeMMCからの起動が出来ます。ISO再構築はしていませんが、ddで書き込む方法と、Ubuntu DesktopのISOイメージから起動→インストールはeMMCから立ち上がることは確認しました。
なぜ唐突にUbuntu Desktopが出てきたかというと、実はECS本家のサポートページにあるDrivers for ubuntuに含まれているマニュアルで使われていたのがデスクトップ版をLive DVDとして起動する手順だったため、試しに14.04のデスクトップ版を入れて見たところ問題なく動いてしまったのです。
EFI周りの挙動
これも最初よく分からなくてハマりました。内容としては
・Ubuntu ServerをUSBにインストール
↓
・それなりに動いたのでWindows8.1をeMMCにインストール
↓
・何故かそれ以降USBから起動を指定してもeMMCのWindowsが立ち上がってしまってUbuntu Serverに入れず
と言う感じでした。話すと長くなるので要点だけまとめますが、
・eMMCにOSを入れると、何故かUSBにEFIパーティションがあってもeMMC内のEFIの情報を優先的に読んでしまう
・eMMC内にWindowsが入った状態でUSB光学ドライブからUbuntu DesktopをLiveで起動し、Ubuntuインストーラを起動してインストール先にUSBメモリを指定するとeMMC内のEFIパーティションにもgrubが入るので、windowsのbootmgfw.efiとgrub2が共存できる
・要するにefibootmgrのエントリ追加を自動でしてくれる
・Linux→Windowsの順序だとgrubが上書きされてしまう
・Windowsを入れた場合のeMMC内のEFIパーティションは/dev/mmcblk0p2で、vfatでフォーマットされているため、
# mount /dev/mmcblk0p2 /mnt/
で中が見られる
・EFIから起動されるgrub.cfgは上記コマンドでマウントした場合/mnt/EFI/ubuntu/grub.cfgとなる
という感じです。多分、Windows8のみやUbuntuのみで使う場合は問題にならないと思います。うまく共存させるとHDDのプロパティーに2つのEFIイメージが登録されます。
まあ、grubからchainloadでbootmgfw.efiを読むことも出来るのですが、デフォルトの起動先を切り替えるにはこっち方が楽です。
Windows 8の32bit版は非対応
EFI対応は64Bitのみで、この板はBIOS互換モードを持っていないため32BitはOSのインストーラーが立ち上がりません。余ってるのを使おうと思ってる人は注意です。
ここまでの印象
EFI周りの挙動は初めてだったため戸惑いましたが、変なことをせず素直にWindows8やUbuntuDesktopだけで使うか、eMMCを無かったものとして考えてUSBメモリにOSを入れて使うのであればハマりポイントは無いです。何かするにあたってもgrubさえEFIから読めれば何とかなりそうな雰囲気でした。
また、Windows8.1を入れてレスポンスを見る限り、それなりに動いていたので何かのサーバとして使うにも問題なさそうでした。
普通のNUCだと筐体+メモリ+ストレージとなり結構な値段をしますが、LIVAに関してはOS無しモデルで1.8万前後と、ちょっと遊ぶには丁度良い価格です。まあ、性能を求めるならこの価格でそれなりにいいコンパクトデスクトップ機(Core2 E8400+Mem4Gのdc7900USDTとか)が中古で買えてしまいますが。
もう少し色々遊んでみて、結果が出たら後半を書きます。ほんとは休みのうちに宅内ネットワーク構成とサーバー構成もだいぶ変えようと思っているのですが、おもちゃで遊んでしまって全く進んでないです。はい。
追記:
amazonにも入荷したようです。下のリンクで買っていただけると中の人が喜びます。
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